ショコラ~恋なんてあり得ない~

それにしても少し早いのだけれど。
どこかで買い物でもしようかしら。

駅と言っても小さい駅だから、それほど賑わっている訳でもない。

駅の東側には大きなデパートが一つと昔親父が勤めていたロイヤルホテルとかがあるけど、一人で行くのはちょっとつまらない。

なので、西側の駅前アーケード商店街に行って時間をつぶすことにした。


「あ、『ショコラ』のウェイトレスさんだ」

「あら、こんにちは」


たまに来るお客さんが声をかけてくれる。よくお昼を食べに来るサラリーマンの二人組。

ラフな格好でブラブラしている。お仕事はお休みなんだろうか。


「一人なんですか? 食事でもどうです?」

「いえ、待ち合わせなんです」

「なんだ、そっか。残念だな」


そして頭をかきながら、「また行きますね」なんて言って去っていく。

< 94 / 303 >

この作品をシェア

pagetop