ショコラ~恋なんてあり得ない~
それにしても少し早いのだけれど。
どこかで買い物でもしようかしら。
駅と言っても小さい駅だから、それほど賑わっている訳でもない。
駅の東側には大きなデパートが一つと昔親父が勤めていたロイヤルホテルとかがあるけど、一人で行くのはちょっとつまらない。
なので、西側の駅前アーケード商店街に行って時間をつぶすことにした。
「あ、『ショコラ』のウェイトレスさんだ」
「あら、こんにちは」
たまに来るお客さんが声をかけてくれる。よくお昼を食べに来るサラリーマンの二人組。
ラフな格好でブラブラしている。お仕事はお休みなんだろうか。
「一人なんですか? 食事でもどうです?」
「いえ、待ち合わせなんです」
「なんだ、そっか。残念だな」
そして頭をかきながら、「また行きますね」なんて言って去っていく。