ショコラ~恋なんてあり得ない~
「じゃあ、行きましょ?」
「うん。こっちだよ、詩子さん」
駅の東側へと歩く。
すると確かに、新しいラーメン屋さんが出来ている。
結構にぎわっていて、少し待たなければならないようだ。
「もう八時なのにね」
「俺、お腹すいたなぁ。詩子さんもすいたよね。ごめん」
「別に、宗司さんのせいじゃないでしょ。そんなんで謝るの変よ?」
「でも、誘ったの俺だし。あ、メニュー決めようか。何がいい?」
店の前にドドンと置いてあるメニューボードを眺める。
お腹は空いたけど、今からがっつり食べるのも太るわね。
「普通のとんこつラーメンで」
そう言った言葉に返事はなかった。
ちらりとみると、宗司さんはメニューに釘付けでブツブツ呟いている。
やれやれ。
混んでいて丁度いいって感じだわね。
決まるのは何分後になるんだろう。