愛し人〜aishibito〜
突然の雅也の訪問に戸惑うが
携帯電話を持って
リビングのガラス戸から
外を伺って見ると
雅也がこっちを見ていて
久美子と目が合う。



「来いよ」と雅也の目がそう言っているので久美子はそのまま
玄関へ向かって外へ出た。



雅也のいた車の所へ行くと
街灯の照らす中、二人は話す。






「こんな時間に悪かったな」



『だってドクターだし』



「まぁな」



『………』



「俺だって…」



『何?』



「たまには誰かを抱き締めたくもなるさ」



『誰かって誰?』



「今、俺の目の前に久美子以外誰がいるんだよ」



『………』



「………」
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