愛し人〜aishibito〜
「たくっ…」



「萩原、久美子ちゃんに逃げられんなよ。はっはっはっ」






今度は佐藤部長も去って行き
雅也一人となったのだ。






「はぁ…」



「萩原先生、お疲れ様です」



「あ、お疲れ様」






通りかかったナースに挨拶されて雅也も挨拶を返す。
それからまた久美子に
追い付くため歩き出した。



一方、久美子は一階ロビーの
椅子に座っていた。






『マシャの奴…来ないじゃん。ホントに一人で帰っちゃうからね』






立ち上がると小走りに雅也が
こっちへ向かって来て言う。






「勝手に行くなよ」



『マシャ…』



「帰るぞ」



『………うん』






今度はちゃんと二人並んで
病院内を出た。
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