愛し人〜aishibito〜
雅也が会計をしている間に
久美子の携帯電話が鳴り出す。



『もしもし?あ、ママ…うん。大丈夫…え、あ…うん。あとね夕飯だけど…要らない。マシャと食べて帰るからいい?うん、ありがとう』



少しの通話で電話を切った時
雅也が席にやって来た。



「電話誰?」



『ママだよ。ご飯要らないって言っておいたから…マシャとならいいって』



「そうか…後で挨拶しなきゃな」



そして買ったハンバーガーを食べようとした久美子だったが
思うように包みを開けられないでいると雅也が開けてくれた。



『ありがとう。はぁ…食べるのも苦労する』



「ポテト食べるか?」



『ポテトくらい自分で食べれるよ』



「手が汚れて後々面倒だろ。ほら口開けろ」



『……恥ずかしいじゃん』



「別に照れる事ないだろ。ほら」



言われるまま久美子は雅也に
ポテトを食べさせてもらった。



『美味しい…』



笑顔で雅也に言うと目線を合わせないで久美子に言った。



「今日は特別だ。次は絶対にやらないからな」



窓の外を見ながら言う雅也の横顔は少し照れたように見えた。
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