愛し人〜aishibito〜
「何考えてんだ!」



『………別に』



「遮断機にこんなに近付いたら、危ないだろ」



『そう?』



雅也では一端、久美子を離すと
異変に気付いた。






「目が腫れてる」



『やだ見ないでっ』






泣き腫れさせた顔を隠して
久美子は逃げるように
雅也の前から走って
近くにある誰も居なかった公園の芝生に座り込んだ。



後を追い掛けて来た雅也も
久美子の隣に座った。
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