愛し人〜aishibito〜
少し待っている間
久美子は何も考えずに
雅也に荷物を届けに行くと言ってしまった事に重大さを感じた。



明美が困っていたから
つい言ってしまったのだが
雅也とはあの日帰国した日にしか会っていない。



もしかしたらどこかで
避けていたのかもしれないと
今日久々に会う事に
緊張してきてしまった。






「お待たせ、はい。これが雅也の着替えよ」



『確かに預かりました。それじゃ行ってきますね』



「本当に助かったわ。今度また遊びに来てね。その時にお礼に何かご馳走するから」






明美に見送られて
雅也に渡す着替えの入った
紙袋を持って家を後にして
久美子は病院に向かうため
バスに乗る事にした。
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