愛し人〜aishibito〜
やっと電話の相手が分かった途端久美子の態度は変わる。
『何でマシャが私の携帯知ってるの?教えてないのに』
「無理言って聞いたんだ。久美子の母さんに」
『ママに!?』
「ああ」
『どうして?』
「………久美子と話したかった。それだけじゃダメか?」
『ダメ。そんなのダメだよ。マシャとなんか話したくない』
「何でだよ」
『やだもん』
「そうかよ。そんな事より窓の外見てみろ」
『え』
「ここ」
顔だけを窓の外に向けると
数メートル先の
コンクリートの壁に背を向けながら携帯電話で話をしている長身の男の人がはっきり見えた。
『何でマシャが私の携帯知ってるの?教えてないのに』
「無理言って聞いたんだ。久美子の母さんに」
『ママに!?』
「ああ」
『どうして?』
「………久美子と話したかった。それだけじゃダメか?」
『ダメ。そんなのダメだよ。マシャとなんか話したくない』
「何でだよ」
『やだもん』
「そうかよ。そんな事より窓の外見てみろ」
『え』
「ここ」
顔だけを窓の外に向けると
数メートル先の
コンクリートの壁に背を向けながら携帯電話で話をしている長身の男の人がはっきり見えた。