愛し人〜aishibito〜
「あの日から大分経ったけど俺の気持ちは少しも変わってない」



『マシャ』






キスされて止まった
溢れ出て流れた涙を拭うと
雅也は急に意地悪な
目付きになって一言。






「浮気者」



『は』



「待ってるって言ったのは久美子の方だろ。金髪美女と浮気したらパパに言い付けるって……なのにお前は恭也と」



『だから違うってそれは言ってるでしょ』



「俺は金髪美女に誘われても丁重に断っていたというのに」



『………何が言いたいのよ』



「俺の気持ち分かっても恭也と付き合う?」



『………イジワル。頭が混乱しちゃうよ。今更何なの……マシャのバカバカバカ!もう誰とも付き合わない』






ポカポカと持っていたバッグで
久美子は雅也の体を叩くが
優しい表情を見せて
もう一度キスしようと
顔を近付けたその時
何かの直感で雅也は視線を感じたので顔を離して振り返ると
そこには恭也がいて
二人を見ていた。
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