夕陽
ひっそりと行われた
千花のお葬式
近い親族と親しい友人たちだけで千花を
空へと見送った
曇り空
今にも泣きそうな
おばさん、あたし帰りますね
あさこちゃん本当に
ありがとうね
傘もってる?
雨が降りそうよ?
大丈夫です
ありがとうおばさん
それじゃ
千花の家をでようと
玄関の扉を開けたときだった
曇り空の雲のスキマから夕陽の明かりが
まるで天使のはしごの
ように町に降りそそいでいた
キレイだね
千花
これなら迷わずに
行けるね
なんだかとても懐かしく感じる
もう何年も夕陽を
見ていなかった気がする
あたしの夢の始まりの瞬間
そして終わりの始まりの瞬間でもある