夕陽
あたしはまだ後ろを
向けたまま
その場に立ち尽くしていた
真山がいる
あたしのすぐ後ろに
動けない
早く走れ!!
あたしは
リセットしたじゃない!!
前を見るって決めたじゃない!!
動け足!!
お願いだから動いて!!
フッと雨が遮られた
はっとして顔を上げるとそこには
変わらない愛しい真山の心配そうな顔があった
あたしと真山は
ビニール傘の中に
手をのばせば
その髪に
その頬に
その唇に
届く距離にいた