スニーカー


「あのさ、沙希。別に話は聞いてあげるけど、もう少し声のボリュームを落とそうか。蝉さん達の声よりもあんた1人の声の方がでかいだけど......」

「あちゃぁ。ごめんね凛。ついつい興奮しちゃって......」


まあ、こうやってすぐ、素直に謝るところが沙希の良いところなんだけど。


「あぁ~。今まで振り返ってもらう為にしてきた努力が報われてよかったぁ!」

……結局、声の大きさ変わってないし……。まあ、いっか……。

まあ確かに、沙希はかなり甘えんぼうで面倒くさがりだけど、今まで佐々木くん(彼氏の名前)に振り返ってもらう為にかなり頑張っていた。

「髪の長い人が好みなんだ」と佐々木くんがいっているのを聞いたその日から髪を伸ばすと決め、毎日毛先までトリートメントでしっかり手入れをしたり。

また、学年でトップクラスの成績をキープする佐々木くんに『馬鹿な女』と思われたくなくてかなり勉強も頑張ったり。

こんな数々の話を聞くたびに『あの、甘えん坊で面倒くさがりな沙希が!?』とかなり驚いたものだ。




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