スニーカー
「ふっ......」


振り返るとそこには男の人が立っていた。そして少し、遠慮しながら笑っている。しかもかなりの至近距離。
つーことは、つまり......


「あの、もしかして、今の......」

「ずいぶん大きな独り言でしたね。すいません、聞く気はなかったんですけど......」


あちゃー。やっぱり聞こえてたか。
高校生にもなってスニーカー買って幸せにー!なんて1人で言ってたらそりゃ笑われるよなー......

うんわ、恥ず!


「そういえば、僕の祖母も似たようなこと、言ってました。靴は履いている人を幸せの元へ運んでくれる、とかなんとか。まあだいぶ前に死んじゃったんですけど」

「あ......。私もおばあちゃんの同じ事、いわれました。だから靴は綺麗にしなさい。新しくしなさいって」

「え!うそ......」


そう言うと、その男のい人はかなり驚いていた。そんな驚くことでも無かろうに、と私は思うけれど。






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