幕末女剣士~新選組~
「おや北条さん?」
アタシのことを"北条さん"なんて
呼ぶヤツは一人しかいない。
「伊東…参謀」
ヤバい…咄嗟に呼び捨てに
するところだった…
この伊東…基伊東参謀は
入隊早々"参謀"という立場になった。
最初はアタシも親しくしようかと
試みたけど…無理だった。
平助はよくあんなのと親しく
話せるよなぁ……と
ある意味尊敬してしまう。
「クスッ、機嫌がいいですね…
なにかいいことでも?」
「いえ…特には」
さっさと退散しよう。
でも小言を並べていなくなるのも
一応上司と部下だし……
「あっお美穂チャン!」
「沖田さん……?」
パタパタと歩いてきた沖田さん。
手には何かを持っている。
「ちょうどよかった!
お団子買ったんです。一緒に……」
此方に近づいてきてアタシと
いる人を見て言葉を止める。
「伊東さんもいたんですか~!
そうだお団子食べます?」
沖田さんは笑いながら
お団子を見せる。
「いえ結構です。それでは……」
伊東も気味悪い笑顔を此方に
向け、去っていった。
「お美穂チャン!大丈夫でしたか?!」