幕末女剣士~新選組~


違う……?

「その…美穂は何も悪くないんだ…」

アタシは悪くない……?

「じゃあどうして…?」

すると平助は一層バツの悪そうな

顔をした。

「それは……」

「やっぱり話せないの……?」

胸がチクリと痛んだ。

平助は慌てた表情になって

ブンブン手と首を振った。

「本当に違うんだ…ただ……
俺が……その…総司に……」

「沖田さんに……?」

なんで沖田さんが出てくるんだろ?

益々解らない……

「だ、から…総司にしっ嫉妬したんだよ…」

段々小さくなった平助の声。

でもしっかり聞き取れた。

嫉妬……?

平助が……?

「その…総司と美穂が仲良く
してて…でも同じ隊の人達だから
それはしょうがないって思った。
だけど!!総司が美穂に抱きついた
瞬間、我慢出来なかった…」

平助の表情は泣きそうで悔しさと

情けなさが入り交じったようだった。

アタシは思わず平助に抱きついた。

「よかった……」

「えっ?」

平助が不思議そうにアタシを見た。

「アタシずっと平助に嫌われたんじゃ
ないかって不安だったの…
でもそうじゃなくてよかった…」

「それに嫉妬してたのは平助だけ
じゃないんだよ」

「えっ?」

「クスッ!アタシも…アタシもあの芸者さんに
嫉妬してた。あの隣はアタシじゃないの?って」

「そっか…美穂もか…」

平助は安心したのかふんわり笑って

アタシの髪を掬っていた。

その仕草があまりに自然で

アタシは頬を紅く染めた。

< 146 / 156 >

この作品をシェア

pagetop