ヤクザと恋愛
陽くんが私を見ながら言った。
その目が城田さんの冷めた目と被った。
「…いやっ。ごめんなさい。っ!助けて…。」
「セイナ?」
「城田さん!やめて…。助けて…。」
私の目から涙が零れた。
「セイナ!大丈夫だ!俺は井端陽だ。お前を襲わない。」
陽くん…。
「俺がお前を守ってやる。助けるから。」
その言葉を聞くと、私は安心して陽くんの腕の中に入った。
「…大丈夫か?」
腕の中の私に陽くんが優しく囁いた。
「…うん。陽くんだ。ごめんなさい。」
「…大丈夫?セイナちゃん。」
麻美さんが心配そうな顔で聞いてきた。
「大丈夫。明日、楽しみだね!」
私は無理矢理、明るく振る舞った。
「うん。そうだね!あっ、堅太郎さんのところ行こうよ!」
「うん。行こう!」
私は腕の中から出て、麻美さんと堅太郎さんの居る、台所に向かった。
「セイナ。だから、堅太郎って誰なんだよ。」
その言葉を聞いて、私と麻美さんは驚いた。
「知らないの…?ここの料理作ってる人だよ?」
「あぁ、夏川か。」
「夏川?」
「あぁ。夏川堅太郎。夏川のことだったのか。」
「何だよ。料理人かよ。」