ヤクザと恋愛
「セイナ、泣くなって。お前が泣いたらどうしたらいいか分かんなくなる。」
私だって分かんない。
「…人の優しさに慣れたくないの。
人に頼りたくないの。」
私がいきなり話しだしたから、陽くんは驚いていた。
「どうして私なの?苦しむのも、悲しむのも。」
小さい頃からあまり人の優しさに触れたことはない。
少し私は戸惑っていた。
「ちょっとは人に頼れよ。」
「ごめんなさい。陽くん。」
謝ったのは私の癖。
「すぐに謝るな。…セイナ、気分転換にデート行くぞ。」
陽くんは突然そう言って私と手を繋いだ。
「えっ…。ちょっと、陽くん!」
びっくりして私の涙は乾いていた。
「セイナ、遊園地でいいか?」
陽くんは私の問いかけを無視して歩いた。
「…陽くん。」
不安になった私は陽くんに話しかけた。
「セイナに笑ってほしい。本気で笑ってるところを見たい。」
そう言ってまた黙って歩いた。
しばらくすると駅に着いた。電車に乗ったがあまり混んでなかったから座ることができた。
「次の駅に着いたら起こして。」
そう言って陽くんは眠りについた。