ヤクザと恋愛



どれだけ寝たら気がすむんだろう。


ずっと前からの疑問。


…さっき陽くんが、私に笑ってほしいと言った。


その言葉にドキッっとした。






私がいろんなことを考えていると、隣に40代くらいの男の人が座った。




気にすることもなかったが、



男の人の手が私の脚に触れた。


そして、だんだんとスカートの中に入ってくる。




昼間だからと言って、電車の中には人がいる。


でもほとんどの人が寝ている。




だから小さく抵抗した。



「…止めてください。」

そう言って手を退かそうとした。が…



逆にそれの手を掴まれてしまった。



陽くんを起こそうとしても男の人がそれを許さない。




男の人の手がスカートの中に入ってしまった。



…イヤッ!…

でも大声を出せば皆が起きる。




どうしよう。陽くん。




「おっさん。昼間から痴漢?」



陽くんだった。


あの低い声で男の人に話しかけている。


男の人は陽くんに怯えているようで、スカートの中から手を出した。




「…すみませんでした!」


男の人は頭を下げて、隣の車両に行ってしまった。










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