ヤクザと恋愛
小さい声で言ったつもりだったけど、河瀬さんには聞こえたらしい。
「ちょっと待て!じゃあ、何処に行くつもりだ?」
「…その辺で寝るつもりです。」
私はそう言って、河瀬さんに頭を下げた。
「待てって!話しを聞く。家に来い。」
陽くん。
貴方には叶わないけど…私に優しくしてくれる人がいたよ?
「若頭!お帰りなさい!」
河瀬さんについて行くと、大きなお屋敷に着いた。
ここなんだ。
~河瀬組~書いてある。
和風の平家だった。
そこの一番奥の部屋に連れて行かれた。
「お前は誰だ。さっき井端組の若頭の名前を言ったな。」
井端組。帰りたい。
そう思うと涙が出てきた。
「…おい!大丈夫か?」
陽くん…。寂しいよ…。
私を孤独から救って…。
貴方の笑顔が見たい。
…太陽が見たい。もう一度だけ。