TEEN

1人、また1人。


教室からどんどん人がいなくなっていく。


みんな1人で日直やっている私など、まるで景色の一部であるかのように見向きもせず。



「なんだか・・・」



誰も私のことなんか
見ていない。

いや、そんなの
当たり前なんだけど


「なんだけど・・・。」


ふと振り向くと
誰一人として
教室に残っている人は
いなかった。


「・・・はあー・・・。」





─辛い。





喉元まででかかった言葉を空気と一緒に飲み込んだ。

その時、ある問題が発生した。


「・・・!!
・・・上、届かない・・・!!」


150cmにも満たない私の身長では、この黒板は高すぎた。


「・・・背伸び・・・!!」


それでも黒板消しは既に消して何も書かれていない場所を、何回も往復するだけだった。


「あ、椅子取ってこよう。」


私は自分の席へと向かい椅子を取った。


「・・・よし。」


そう言って黒板のある方へ振り返った。



「え・・・。」


見ると黒板上部の半分くらいの文字が消えていた。


消していたのは、


「佐藤くん・・・。」


私がそう呟くと、佐藤くんは振り返ってこう言った。

「あともう1人は誰?」


「え?」


「日直。あともう1人は?」

「あ・・・わかんない。
私友達に変わってって言われてやってるから・・・。」

「・・・そっか。
じゃあ俺が手伝うよ。」


「え!!そんな・・・いいよ。なんか悪いよ・・・。」


「いい。俺どうせ帰宅部だし。」


そう言って、あんなに高い位置にある黒板の文字を、いとも容易く消した。


< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop