TEEN
1人、また1人。
教室からどんどん人がいなくなっていく。
みんな1人で日直やっている私など、まるで景色の一部であるかのように見向きもせず。
「なんだか・・・」
誰も私のことなんか
見ていない。
いや、そんなの
当たり前なんだけど
「なんだけど・・・。」
ふと振り向くと
誰一人として
教室に残っている人は
いなかった。
「・・・はあー・・・。」
─辛い。
喉元まででかかった言葉を空気と一緒に飲み込んだ。
その時、ある問題が発生した。
「・・・!!
・・・上、届かない・・・!!」
150cmにも満たない私の身長では、この黒板は高すぎた。
「・・・背伸び・・・!!」
それでも黒板消しは既に消して何も書かれていない場所を、何回も往復するだけだった。
「あ、椅子取ってこよう。」
私は自分の席へと向かい椅子を取った。
「・・・よし。」
そう言って黒板のある方へ振り返った。
「え・・・。」
見ると黒板上部の半分くらいの文字が消えていた。
消していたのは、
「佐藤くん・・・。」
私がそう呟くと、佐藤くんは振り返ってこう言った。
「あともう1人は誰?」
「え?」
「日直。あともう1人は?」
「あ・・・わかんない。
私友達に変わってって言われてやってるから・・・。」
「・・・そっか。
じゃあ俺が手伝うよ。」
「え!!そんな・・・いいよ。なんか悪いよ・・・。」
「いい。俺どうせ帰宅部だし。」
そう言って、あんなに高い位置にある黒板の文字を、いとも容易く消した。