TEEN

「佐藤くん、大丈夫かな。」


二人が教室から出てしばらくは、西崎くんの声が校舎中に響いていた。


─お前はいつもそうやって俺に迷惑かけて・・・。

─おい!!話聞いてるのか!!
─監督にもなあ・・・。

─・・・って聞けえぇえ!!!



・・・どうやら、
怒られているようだ。


「・・・悪いこと、したかなあ・・・。」


少し罪悪感を感じて俯いた。


「・・・ん???」


足元にハンカチがひとつ。

「誰の・・・???」


拾ってみると、名前がない。


でもなんとなく、なんとなくだけど、持ち主が分かる気がした。


「・・・佐藤くん。」


机に置いておく。
明日、渡す。


別に今日じゃなくても、渡すチャンスはいくらでもあった。


それにそもそも、このハンカチが佐藤くんのものだという確信は、どこにもなかった。


でもなんとなく、これは佐藤くんのハンカチであって、それは今日渡さないといけない気がした。


「・・・行こう。」


私はハンカチを握り締め、弓道部部室へと走り出した。

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