TEEN

「初対面?
あんたとはね。
ハンカチとは
初対面じゃないよ。」


「え???」


そう言うと、その子はハンカチを裏返し、何かを確認していた。


「あ、やっぱり。
それ、私の兄貴の。」


にかっと笑って、私の顔を覗きこんだ。


「なんでお姉さんが持ってるの・・・???」


いたずらっ子みたいな笑みを浮かべて、じーっと私の顔を覗きこむ。


「まさか・・・彼女さんとか???笑」


「え・・・っ???
あ、いや・・・、さ、さっき落としていったから・・・!!だからその・・・っ」


「あっははは!!
冗談だよ冗談!!
お姉さん可愛いね!!」


無邪気に笑うその子をふと見ると、体育着に“佐藤千秋”と刺繍がされてあった。


「もしかしてあなた
佐藤くんの妹さん???」


「ピンポーン!!
私佐藤綾人の妹で佐藤千秋と申します。
よろしくお願いします!!」


この明るさからは佐藤くんは想像出来ないが、さすが兄弟とも言うべきか、妹さんも端正な顔立ちをしていた。


そしてもう一つ。


「千秋・・・って言うの?」


「うん。千の秋で千秋。
お姉さんの名前は?」


「すごいね。私も千秋って言うんだ。」


「え?!本当?!
すごい!!偶然と思えないね!!」



「なんだか、運命みたいだね。」


少し照れながら言った。


「運命とか(笑)
お姉さんウケるね!!」


─運命だってー!!


そう叫んでケタケタ笑いながら千秋ちゃんは走っていってしまった。

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