そら。―HAPPY STORY―
「ひゃっ」
小さく悲鳴をあげる。
ホースから水が溢れ、花びらに輝き、虹が表れた。
初めてだったかもしれない。
綺麗だ、と感動したのは。
もっと、もっと夏美が欲しくなった。
もう、玲になんて触れてもほしくなかった。
「…俺だけのものに、なれ」
その時
抱きしめた俺の腕に雫が落ちた。
夏美の顔は見れなかった。
その雫が、水しぶきだったのか、涙だったのか、知ることはなかった。