そら。―HAPPY STORY―
大好きな彼女のままで
◆
「お兄ちゃん?出かけるの??」
黒い服に身を包んだ俺を、光は不思議そうに見つめる。
俺は、光の寝起きの髪をくしゃくしゃとして、ニッコリと笑ってみせた。
「うん。ちょっと出かけてくるよ」
―――夏美。
元気にしてるか?
ちゃんと、俺の大人になる姿を見ておけよ。
もしかしたら、女と喋ってたら妬くかな?
…いや。ないか。
お前の本当の望みは、夏美を忘れて、
光と俺に幸せになってもらうことだろ?
…馬鹿だな。
世界よりも、どこよりも愛していた―――いや、
愛してる女を、忘れるわけないだろ?