そら。―HAPPY STORY―
愛せと言われている。
握った夏美の手が冷たくて、
内心で呟いた。
体が弱いのに、冷えて
どうするんだよ…
きっと口にしてしまえば、
涙と混じって震えてしまう。
夏美を、離してしまう。
だから俺は、夏美の手を
握り締めて
この体温で伝えるのだ。
良かった
無事で
心配だった
伝わるのか、わからないけれど俺は夏美を信じてる。
妹を守るために閉じた
この冷たい心を
夏美になら開ける。
「あいしてる…」
その声が夏美に届いていたかはわからない。
だが少なくとも、夏美は手を
握り返してくれた。