ゼロクエスト ~第2部 異なる者
結界を創ったのは勿論、外部との切断目的もあるに違いない。が、恐らくあの3人をここへ閉じ込めておくのも、理由の一つなのだろう。

「キラー・アイ。貴様の噂は、俺たちの耳にも入っている」

「へえ、サラマタル大陸にまであたしの名が知れ渡っているとはね。でもサインはやらないよ」

「確か貴様の胆(きも)を摂取すれば、至上最強になれるという話だったな」

あたしの気の利いた冗談をあっさりと無視したレグが、下卑た笑みを浮かべながら言った。

その噂がこの大陸にいる中位クラス連中の間で流れていることは、あたしも知っていた。

過去、それに絡んで戦いを挑んできたものも数多くいたが、その都度撃退してきたのだ。

「それはあくまでも噂だろう?
あたしはこの通りピンピンしているし、胆も取られたことはないよ」

「だが、そうだ……貴様にはこんな噂もあったな。知っているか? ボブ」

「レグ、もしかしてアレのことか?」

ボブと呼ばれた魔物は、ちらりとあたしのほうを見ながら答えた。

「キラー・アイが極めて特殊な、『半魔半人』の身体を持つという、アノ話」
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