ゼロクエスト ~第2部 異なる者
あたしのこめかみが反射的に、ピクリと反応してしまった。が、奴らの様子に変化はない。どうやら気付かれてはいないようだ。

「そうだ。
通常の『半魔半人』は『母体』が我ら魔族でなければ、この世に生まれ出でることができないと言われている。
ヒトの身では器である母胎が、その精霊力に耐えきれないからな。
しかしキラー・アイはその逆で、『母体』が人間。
しかもその胎内を破壊せず、死産にさえならずに生まれ出でたという」

「それもただの噂だ。事実とは限らない」

「確かにな。我ら魔族の血を受け継ぐ者が人間の胎内から生まれ、何十年も生き長らえているなど、今まで聞いたことのない非常識な話だ」

(……こいつら、喋りすぎだ)

あたしはお喋りな奴は嫌いだった。胃がムカつくほどに。

だが奴はこちらの反応を楽しむかのように、まだ喋り続けている。

「噂であれ何であれ、この大陸に広まっている話が我らの所にも伝わってきた。
ならばここで貴様に出会ったのも、何か運命を感じるとは思わないか?」

『運命』――これが恋人に言われた科白(セリフ)ならば心躍るところなのだろうが、こんな奴に言われているかと思うと反吐が出る。

「だから貴様らはそれが真実かどうか、ここで確かめると言うのか」

「そうだ。もしそれが事実ならば、我が最強になる!」
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