ゼロクエスト ~第2部 異なる者
彼には魔物の術が効かない。身体に当たる寸前で、周囲には精霊の結界が張り巡らされた状態となり、術を弾く。
先程は『術』である結界に彼が触れた途端、その能力が発動した。故に弾かれた術はその形態を保つことができなくなり、破壊されたのかもしれない。
無論この考えは、私の憶測にしかすぎないのだが。
(ルティナも私たちのことを、何か勘違いしている?)
今彼女は「あの結界を破ったのはあんたたちだろう?」と訊いてきた。
「あんたたち」――つまり、また私とエドのことまで数に含まれているのだ。先程の魔物たちと同じである。
確かに私たちは3人で行動しているが、エドは結界を通らなかったので分からないにしても、私は破ることができなかった。
やってみせたのは、アレックス一人だけである。彼女はそれを見ていなかったのだろうか。
「さっきの結界を破壊できるということは、モンスター・ミストも破れるということになる」
「それはつまり、モンスター・ミスト自体が、魔物の結界術で出来ているということなの?」
「無論、そうだ」
「でもだからって、破壊できるとは限らないじゃない」
「アレはさっきの結界術と、何ら変わりない代物だ。
破るためにはそれを作った張本人――魔物を倒すか、或いはソイツに無理矢理にでも解かせるしかない。
だがその張本人である魔物は現在、その中に隠れていて外へは全く出てこないのさ。
つまり、外部からアレを破壊するのは不可能というわけだ。
だからそれをできる、あんたたちの協力が必要だ」
その説明で彼女の依頼理由は分かったのだが。
(にしても何だか、やけに詳しいのよね)
モンスター・ミストは中に入って調査ができないので、その正体は殆ど分かっていない。
なのに目の前にいる目付きの悪い女性は何故か、あの霧は魔物の結界だと自信たっぷりに言い切ったのである。
「むう、どういうことだ」
ここで初めてアレックスが口を開いた。
「何故ここにあるはずの手が、後ろの離れた場所へ、瞬時に移動するというのだ」
「あんたまだそれを考えとったんかいッ!!!」
一応ツッコんでおいた。
とはいえ彼のことだから、ある程度の予想はしていたけれど。
先程は『術』である結界に彼が触れた途端、その能力が発動した。故に弾かれた術はその形態を保つことができなくなり、破壊されたのかもしれない。
無論この考えは、私の憶測にしかすぎないのだが。
(ルティナも私たちのことを、何か勘違いしている?)
今彼女は「あの結界を破ったのはあんたたちだろう?」と訊いてきた。
「あんたたち」――つまり、また私とエドのことまで数に含まれているのだ。先程の魔物たちと同じである。
確かに私たちは3人で行動しているが、エドは結界を通らなかったので分からないにしても、私は破ることができなかった。
やってみせたのは、アレックス一人だけである。彼女はそれを見ていなかったのだろうか。
「さっきの結界を破壊できるということは、モンスター・ミストも破れるということになる」
「それはつまり、モンスター・ミスト自体が、魔物の結界術で出来ているということなの?」
「無論、そうだ」
「でもだからって、破壊できるとは限らないじゃない」
「アレはさっきの結界術と、何ら変わりない代物だ。
破るためにはそれを作った張本人――魔物を倒すか、或いはソイツに無理矢理にでも解かせるしかない。
だがその張本人である魔物は現在、その中に隠れていて外へは全く出てこないのさ。
つまり、外部からアレを破壊するのは不可能というわけだ。
だからそれをできる、あんたたちの協力が必要だ」
その説明で彼女の依頼理由は分かったのだが。
(にしても何だか、やけに詳しいのよね)
モンスター・ミストは中に入って調査ができないので、その正体は殆ど分かっていない。
なのに目の前にいる目付きの悪い女性は何故か、あの霧は魔物の結界だと自信たっぷりに言い切ったのである。
「むう、どういうことだ」
ここで初めてアレックスが口を開いた。
「何故ここにあるはずの手が、後ろの離れた場所へ、瞬時に移動するというのだ」
「あんたまだそれを考えとったんかいッ!!!」
一応ツッコんでおいた。
とはいえ彼のことだから、ある程度の予想はしていたけれど。