ゼロクエスト ~第2部 異なる者
それにしてもエドは一体、どのような説明をしたのだろうか。この口振りから察するに、恐らくは多少の脚色を加えているのかもしれないが。
時々忘れそうになるのだが、彼は何と言っても吟遊詩人なのである。
「英雄? 何を言っている」
「何!??
君はまさか、あの偉大なる英雄を知らないというのか!!!」
訝しんだ様子で訊き返した彼女の手を取りながら、再び凄い勢いで詰め寄っていくアレックス。
「いや、そうではないが…」
急に迫られたルティナは、戸惑いの表情とともに眉根を寄せると、顔を横へ逸らした。
「英雄といえば、アノ話だろう」
彼女は後退りながらアレックスの手を振り払うと、慌てるかのように後ろを向く。
「精霊に守護されし六英雄が、魔王を倒したとかいうアノ話」
「おおっ!
何だ、君も知っているのではないか」
「知っているも何も、有名なお伽話だからな。
それを本気で信じているのは大抵、トイーズダレマ大陸にいる精霊崇拝者かカルト信者くらいなものだが……あんた、信者なのかい?」
「信者?」
アレックスは首を傾げている。
「俺は英雄の末裔だが」
「………は?」
「わーっ、そ、そ、それより、モンスター・ミストの話よっ!」
時々忘れそうになるのだが、彼は何と言っても吟遊詩人なのである。
「英雄? 何を言っている」
「何!??
君はまさか、あの偉大なる英雄を知らないというのか!!!」
訝しんだ様子で訊き返した彼女の手を取りながら、再び凄い勢いで詰め寄っていくアレックス。
「いや、そうではないが…」
急に迫られたルティナは、戸惑いの表情とともに眉根を寄せると、顔を横へ逸らした。
「英雄といえば、アノ話だろう」
彼女は後退りながらアレックスの手を振り払うと、慌てるかのように後ろを向く。
「精霊に守護されし六英雄が、魔王を倒したとかいうアノ話」
「おおっ!
何だ、君も知っているのではないか」
「知っているも何も、有名なお伽話だからな。
それを本気で信じているのは大抵、トイーズダレマ大陸にいる精霊崇拝者かカルト信者くらいなものだが……あんた、信者なのかい?」
「信者?」
アレックスは首を傾げている。
「俺は英雄の末裔だが」
「………は?」
「わーっ、そ、そ、それより、モンスター・ミストの話よっ!」