ゼロクエスト ~第2部 異なる者
第2節 開門直前
(うわ、マズっ)
私はそれを口に入れた途端、思わず顔を顰めていた。
その場所は温泉街の外れにある、あまり綺麗とは言い難い建物の一角にあった。
人ひとりがやっと通れるくらいの、薄暗くて狭い階段。
地上から下っていくと、一枚の扉が現れる。
そこに掲げられていたのは古ぼけた小さな木製板で、表面には『喫茶フェアリー』と書かれていた。
しかし内装は「フェアリー(妖精)」という名には、ほど遠かった。
狭い店内にあるのは小さなカウンター一つに、五つテーブルが並んでいるだけのシンプルなもの。
誰の作品だか分からない絵画が壁に掲げられていたり、花や観葉植物が生けられていたり、吟遊詩人による緩やかな調べが店内を流れていたり―――というようなことも全くない。
ましてや、『妖精』から連想されるようなファンシー系調度品なども一切なく、何故そのような名を付けたのかと、疑問に思わずにはいられない店だった。
その上、出てきた料理も不味い。
運ばれてくる時間はそれ程遅くはなかったし、見た目も悪くはないのだが、一口食べただけで辟易するくらいの不味さである。
メニューの種類もあまり豊富ではなかった。
パスタも3種類しかなくて、他にはサラダとトーストがいくつかあるだけなのだ。飲物も香茶と黒豆茶、フルーツジュースくらいしかなかった。
私はそれを口に入れた途端、思わず顔を顰めていた。
その場所は温泉街の外れにある、あまり綺麗とは言い難い建物の一角にあった。
人ひとりがやっと通れるくらいの、薄暗くて狭い階段。
地上から下っていくと、一枚の扉が現れる。
そこに掲げられていたのは古ぼけた小さな木製板で、表面には『喫茶フェアリー』と書かれていた。
しかし内装は「フェアリー(妖精)」という名には、ほど遠かった。
狭い店内にあるのは小さなカウンター一つに、五つテーブルが並んでいるだけのシンプルなもの。
誰の作品だか分からない絵画が壁に掲げられていたり、花や観葉植物が生けられていたり、吟遊詩人による緩やかな調べが店内を流れていたり―――というようなことも全くない。
ましてや、『妖精』から連想されるようなファンシー系調度品なども一切なく、何故そのような名を付けたのかと、疑問に思わずにはいられない店だった。
その上、出てきた料理も不味い。
運ばれてくる時間はそれ程遅くはなかったし、見た目も悪くはないのだが、一口食べただけで辟易するくらいの不味さである。
メニューの種類もあまり豊富ではなかった。
パスタも3種類しかなくて、他にはサラダとトーストがいくつかあるだけなのだ。飲物も香茶と黒豆茶、フルーツジュースくらいしかなかった。