ゼロクエスト ~第2部 異なる者
私はエドにも口を挟まないように言うと、意外にも二人とも素直に了承してくれた。

途中で彼らに口を挟まれると厄介なことになりそうだったので、先に釘を刺しておいたのだ。これで当分は大人しくしてくれるはずである。

私の真剣な眼差しを受け取ったルティナは、何かを諦めたような表情で深い溜息を吐くと、自身の頭を左手でカリカリと掻いた。

「それはあたしが、あの中にいるヤツに用があるからだ」

「あの中っていうと、モンスター・ミストの中ということ?」

「そうだ」

私は一瞬黙り込んだが、直ぐに疑問に思ったことを口にした。

「さっきルティナは、モンスター・ミストの中にいるのが『魔物』だと言っていたわよね。
何でそう言い切れるの?
その根拠は?」

私の質問で、今度はルティナが黙り込む番だったが、ややしてから重そうな口調で答えた。

「あんた、あたしの仕事を言ってみろ」

「へ?
魔物ハンター……でしょ」

「それが全ての答えだ」

そう言うと彼女は椅子の背もたれに身を預け、両腕を組んで再び黙り込んでしまった。

目を閉じた彼女の次の行動をしばらく待ってみるが、それ以上の反応はない。

魔物ハンターは、魔物を狩るのが専門の職業である。

当然、私のような半人前の術士では知り得ない情報を持っていても、何ら不思議ではないのだが。

私はまだ、納得のいかない思いを抱いている。

とはいえ彼女の様子を見れば、これ以上の答えを聞き出すのは難しいだろう。
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