ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「しかし人が多いな。エリス、君は大丈夫なのか?」

「は? 大丈夫って、何が??」

先程から落ち着きなく辺りを見回していたアレックスが、突然私に尋ねてきた。

「この人の多さでは、また迷子になってしまうぞ」

「だから私は迷子になんて……」

「ご安心下さい〜アレックスさん〜!」

私の言葉を遮るようにエドが前へ出ると、自分の胸をドンッと叩き、自信に満ちあふれた顔をアレックスに向けた。

「僕がエリスさんの手を〜しっかりと握って〜離しませんからぁ〜!!」

「どわっ、いつの間にッ!?」

下に視線を落とすと、例のカップルつなぎで手が繋がれているではないか。全くもって、油断も隙もない男だ。

私は必死に振り解こうと試みてみるが、ガッチリと組まれた指は意外にも、簡単に外れなかった。

最初の頃に比べれば何だか繋ぎ方が、格段に上手くなっているような気がする。

「うむ。でかしたぞ、エド!
これで一安心だな」

「ちょっと、何が一安心なのよ」

振り解くのを途中で止めて口を尖らせると、それを宥めるかのようにアレックスは、私の両肩に手を置いた。
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