ゼロクエスト ~第2部 異なる者
そういえばそうだった。

モンスター・ミストの破壊。これが当初の目的である。

「あんたたちは、あの方角へ真っ直ぐに向かうだけでいい。そこにモンスター・ミストがある」

ルティナの指差す方向を見れば、丁度陽の落ちていく場所である。

彼女は「真っ直ぐに向かうだけでいい」と簡単に言っているが、乱戦の中を潜り抜けなければならないのだ。

戦闘に参加しないとはいえ、ただで済むはずがない。

「ルティナ……やっぱり私たちも、参加しないと駄目かな?」

「当然だ」

「けどその……非常に言いにくいんだけど私、今防御術しか使えない状態で……攻撃術が全く、役に立たなくなってしまったのよね」

私は思いきってルティナに告白してみた。

術士が術を使えないというのは、翼のない鳥と一緒である。

かなり恥ずべきことではあったが、手遅れになる前に言っておいたほうがいいと判断したのだ。

「知っている。昼間のあんたたちの戦いを、ずっと陰で見ていたからな」

彼女は腕を組んだままで胸を張り、偉そうな態度で堂々と言った。
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