ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「というわけでエリスさん〜、土属性精霊石(ノームストーン)を〜貸していただきたいのですが〜」
「へ? 他の石、持ってないの??」
「旅の必需品として〜一通り持ち歩いてはいますが〜エリスさんたちと一緒に行動しているので〜他の荷物と一緒に〜迂闊(うかつ)にも〜宿屋へ置いてきてしまいました〜」
エドは相変わらず、へらへらと明るく笑いながら言ってきた。
確かに精霊術士が傍に居るのなら、術札を使う機会は殆どないかもしれない。
しかし私とはぐれてしまった時には、一体どうするつもりだったのか。これはかなり迂闊すぎる。
「あんた……仮にも私たちは、討伐隊へ参加しているのよ。いざという時の必需品が使えなくて、どうするのよ」
私は呆れつつも、腕輪(ブレスレット)から石を取り外してエドに手渡した。
彼は描かれている紋様を表面にして地面へ置くと、重石のように石を乗せる。
更にその上に指先を触れさせた。すると一瞬だけ周囲の気が、僅かに動いた。
直ぐにエドが精霊名を唱えると、彼を中心にして地面から光の円が現れ出でる。
外縁の一端が四方へ伸び、その末端部分に古代文字(ルーン)も浮き出てきた。この文字は学校や修行での必修科目だから、ある程度のものならば私でも読める。
「この方角からすると〜ルティナさんの仰っていた方向は〜こちらになりますね〜」
エドは私に石を手渡しながら、右方向へ人差し指を突き出した。
「それじゃ、新たな魔物が現れる前に、早く目的地へ急ぎましょう」
「エリスさん〜そちらは違いますよ〜。こちらです〜」
「あ、そうなんだ」
何故かは分からなかったが、左方向へ身体が勝手に動いてしまった。私だって、たまには間違うこともあるのだ。
「へ? 他の石、持ってないの??」
「旅の必需品として〜一通り持ち歩いてはいますが〜エリスさんたちと一緒に行動しているので〜他の荷物と一緒に〜迂闊(うかつ)にも〜宿屋へ置いてきてしまいました〜」
エドは相変わらず、へらへらと明るく笑いながら言ってきた。
確かに精霊術士が傍に居るのなら、術札を使う機会は殆どないかもしれない。
しかし私とはぐれてしまった時には、一体どうするつもりだったのか。これはかなり迂闊すぎる。
「あんた……仮にも私たちは、討伐隊へ参加しているのよ。いざという時の必需品が使えなくて、どうするのよ」
私は呆れつつも、腕輪(ブレスレット)から石を取り外してエドに手渡した。
彼は描かれている紋様を表面にして地面へ置くと、重石のように石を乗せる。
更にその上に指先を触れさせた。すると一瞬だけ周囲の気が、僅かに動いた。
直ぐにエドが精霊名を唱えると、彼を中心にして地面から光の円が現れ出でる。
外縁の一端が四方へ伸び、その末端部分に古代文字(ルーン)も浮き出てきた。この文字は学校や修行での必修科目だから、ある程度のものならば私でも読める。
「この方角からすると〜ルティナさんの仰っていた方向は〜こちらになりますね〜」
エドは私に石を手渡しながら、右方向へ人差し指を突き出した。
「それじゃ、新たな魔物が現れる前に、早く目的地へ急ぎましょう」
「エリスさん〜そちらは違いますよ〜。こちらです〜」
「あ、そうなんだ」
何故かは分からなかったが、左方向へ身体が勝手に動いてしまった。私だって、たまには間違うこともあるのだ。