ゼロクエスト ~第2部 異なる者
精霊術士が身の危険を感じた時、咄嗟に出てくるのは普段使い慣れている術文である。
だからこの瞬間で私が唱えるであろうものは、本来ならば先程まで使いまくっていた、風属性防御術(シールド)であるはずなのだが。
「烈風天駆(ヴァン・ヴォレ・ヴィン)!」
瞬時に口をついて出てきた言葉は、意外にも予想に反したものだった。
これはただ強風が吹き荒れるだけで、殺傷能力も皆無に等しい術文である。
つまり戦闘時においては、あまり役に立たないのだ。
しかも攻撃術でもあるため、今の私では普段の能力が出せない。
それなのに何故出てきたのか、言った瞬間に自分でも戸惑っていた。
自分の過ちに気付いた私は、思わず目を瞑る。
だが。
聞き慣れた轟音が耳許で唸っていた。
「エリスさん〜今のうちに、こちらですぅ〜!」
それとともに聞こえてくる高音ボイス。
弾かれるように開けたその目で見たものは、落ち葉のように上空へ舞い上げられている魔物の姿だった。
私はその光景で再び、呆気に取られそうになっていた。
が、今が逃げるチャンスだということにようやく気付くと、エドから放たれる光に向かって夢中で走り出していた。
だからこの瞬間で私が唱えるであろうものは、本来ならば先程まで使いまくっていた、風属性防御術(シールド)であるはずなのだが。
「烈風天駆(ヴァン・ヴォレ・ヴィン)!」
瞬時に口をついて出てきた言葉は、意外にも予想に反したものだった。
これはただ強風が吹き荒れるだけで、殺傷能力も皆無に等しい術文である。
つまり戦闘時においては、あまり役に立たないのだ。
しかも攻撃術でもあるため、今の私では普段の能力が出せない。
それなのに何故出てきたのか、言った瞬間に自分でも戸惑っていた。
自分の過ちに気付いた私は、思わず目を瞑る。
だが。
聞き慣れた轟音が耳許で唸っていた。
「エリスさん〜今のうちに、こちらですぅ〜!」
それとともに聞こえてくる高音ボイス。
弾かれるように開けたその目で見たものは、落ち葉のように上空へ舞い上げられている魔物の姿だった。
私はその光景で再び、呆気に取られそうになっていた。
が、今が逃げるチャンスだということにようやく気付くと、エドから放たれる光に向かって夢中で走り出していた。