ゼロクエスト ~第2部 異なる者
周囲の闇が一面、いつの間にか白濁色に変化していたのだ。

おまけにエドの後ろ姿も見失っていた。

後方にいた敵の姿も見えなくなっている。

更に先程まで宙(そら)一杯に広がっていた星々までもが、この白濁色に遮られているかのように確認できなかった。

だが唯一、周囲に樹木が生えていることだけは分かる。

この突然の異常事態で、私はいつの間にか冷静さを取り戻していた。

私は息を整え、やがてゆっくりと起き上がる。

そして付近に生えている樹木の感触を確認しながら、改めて恐る恐る辺りを見回してみた。

「一体、どうなっちゃったの?」

エドは何処へ行ってしまったのか。

敵も何処へ消えたのか。

耳を澄ませてみるが、生き物の気配がまるで感じられなかった。

この世にたった一人、自分だけが取り残されてしまったかのような感覚だ。

どうしてこんなことになってしまったのか。

先程まで夢中で走っていた私には、状況がさっぱり分からない。
< 145 / 298 >

この作品をシェア

pagetop