ゼロクエスト ~第2部 異なる者
先程の光景が浮かび上がってくる。

これはきっと夢だ。悪い夢だ。

目が覚めれば、そこにはいつものように両親が居る。

あたしの頭を撫でながら
「もう大丈夫だよ」
「お父さんたちが居るから、安心していいんだよ」
と言ってくれる。



気付いた時あたしは、両手首を強い力で押さえ込まれていた。はっきりしない頭で、それを眺めていた。

痛みと熱さで意識が朦朧としている。

虚構と現実の認識が曖昧になっていた。視界も真っ赤に染まっていた。

だが視線は、手首を掴んでいる腕に傾けられていた。

それを辿るかのように、ゆっくりと顔を上げる。





殺したのは誰だ。



村を焼いたのは―――。
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