ゼロクエスト ~第2部 異なる者
第2節 魔物の霧
「ルティナよ。
俺たちはいつまでコソ泥のようにコソコソと、隠れていなければならぬのだ?」
「あと少しの辛抱だ。目的地は直ぐそこだからな」
あたしは辺りを警戒しながら、アレックスの質問に答えた。
今のあたしは彼と行動を共にしている。他の二人のことは、既に見失っていた。
最初はこの3人の中で、誰か一人でも目的地へ辿り着くことが出来れば良いと考えていた。
しかしそれはあたしの思い違いで、結界を破壊できるのは彼だけだと言う。
だから門が開く直前で、咄嗟にアレックスの腕を掴み、手を離さなかった。
何故なら3人の中で一番信用できないのが、この男だったからだ。それは今までの彼らの会話を聞いていれば分かる。
そしてあたしの勘は、やはり正しかったらしい。
外へ出たと同時に彼は率先して、侵入しようとしていた魔物と戦い始めていた。
それだけであれば、まだ良かったのだが。
放たれる魔物の術を、何もせずに跳ね返していた。
無論、術文も精霊石も使用せずに、だ。
長年魔物ハンターをやっているあたしだが、このような人間に出会ったのは初めてだった。
もしあたしが彼の能力を知らなかったなら――そしてこの左眼がなかったならば、真っ先に「魔物」だと疑っていたはずだ。
事実、周囲で戦っていた術士たちがそれを目撃した途端、一斉にこちらへも攻撃を仕掛けてきた。
俺たちはいつまでコソ泥のようにコソコソと、隠れていなければならぬのだ?」
「あと少しの辛抱だ。目的地は直ぐそこだからな」
あたしは辺りを警戒しながら、アレックスの質問に答えた。
今のあたしは彼と行動を共にしている。他の二人のことは、既に見失っていた。
最初はこの3人の中で、誰か一人でも目的地へ辿り着くことが出来れば良いと考えていた。
しかしそれはあたしの思い違いで、結界を破壊できるのは彼だけだと言う。
だから門が開く直前で、咄嗟にアレックスの腕を掴み、手を離さなかった。
何故なら3人の中で一番信用できないのが、この男だったからだ。それは今までの彼らの会話を聞いていれば分かる。
そしてあたしの勘は、やはり正しかったらしい。
外へ出たと同時に彼は率先して、侵入しようとしていた魔物と戦い始めていた。
それだけであれば、まだ良かったのだが。
放たれる魔物の術を、何もせずに跳ね返していた。
無論、術文も精霊石も使用せずに、だ。
長年魔物ハンターをやっているあたしだが、このような人間に出会ったのは初めてだった。
もしあたしが彼の能力を知らなかったなら――そしてこの左眼がなかったならば、真っ先に「魔物」だと疑っていたはずだ。
事実、周囲で戦っていた術士たちがそれを目撃した途端、一斉にこちらへも攻撃を仕掛けてきた。