ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「しかしこれくらいの怪我、俺には根性でどうとでもなるのだがな」
「脂汗を流しながら何を言っている。
痩せ我慢も程々にしないと、後で痛い目みるぞ」
左腕上腕部を押さえながら、汗を額に滲ませている彼を横目で睨み付けた。
術士たちが攻撃を放った際、その中の光の矢がアレックスの肩を掠ったのだ。
そこは防具に覆われていない『継ぎ目』と言われる部分で、術は丁度そこを通っていったらしい。
破れた服の下には青痣が覗いており、大きく腫れ上がっていた。
上から軽く押しただけで彼の顔は歪み、その感触で骨が折られていることに気が付いたのだ。
しかしあの時、術は確かに腕を掠っていた。
直撃はしていない。それはあたし自身が証人だ。
だが何故か皮膚は裂けずに、中の骨だけが綺麗に折られている。
彼の話では「人間の術に掛かりやすい体質になっている」らしい。
世の中にはそういう人間も確かにいるが、掠っただけでそこまでの効果があるのだろうか。
とはいえ「結界を破壊できる能力」も聞いたことがなかったから、強ち嘘ではないのかもしれないが。
「う……むむむぅ……。
これしきのことで悔しいが、俺もまだまだ修行に精進せねばなるまいな」
その辺に落ちていた棒きれで固定している腕を押さえ込みながら、アレックスは悔しそうに顔を歪ませていた。
「脂汗を流しながら何を言っている。
痩せ我慢も程々にしないと、後で痛い目みるぞ」
左腕上腕部を押さえながら、汗を額に滲ませている彼を横目で睨み付けた。
術士たちが攻撃を放った際、その中の光の矢がアレックスの肩を掠ったのだ。
そこは防具に覆われていない『継ぎ目』と言われる部分で、術は丁度そこを通っていったらしい。
破れた服の下には青痣が覗いており、大きく腫れ上がっていた。
上から軽く押しただけで彼の顔は歪み、その感触で骨が折られていることに気が付いたのだ。
しかしあの時、術は確かに腕を掠っていた。
直撃はしていない。それはあたし自身が証人だ。
だが何故か皮膚は裂けずに、中の骨だけが綺麗に折られている。
彼の話では「人間の術に掛かりやすい体質になっている」らしい。
世の中にはそういう人間も確かにいるが、掠っただけでそこまでの効果があるのだろうか。
とはいえ「結界を破壊できる能力」も聞いたことがなかったから、強ち嘘ではないのかもしれないが。
「う……むむむぅ……。
これしきのことで悔しいが、俺もまだまだ修行に精進せねばなるまいな」
その辺に落ちていた棒きれで固定している腕を押さえ込みながら、アレックスは悔しそうに顔を歪ませていた。