ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「それにしてもここが〜モンスター・ミストの中なのですね〜。
では〜あの白い場所も〜霧の中だったという訳ですか〜。納得です〜」

エドは周辺を感慨深げに見回すと、そんな感想を述べた。

「となると〜昼間の結界とは違って〜桁違いの規模ですね〜。
このような空間を〜創り出すことができるとは〜一体どのような〜魔物なのでしょうか〜。
ルティナさんは〜知っているのですか〜?」

「……ああ」

あたしは短い返事をするとそのまま立ち上がり、歩き出す。

先程霧の中を抜けた途端この方角で、更に強烈な気配を感じていた。

場所を移動する度に、左眼の疼きも段々と非道くなっていくのだ。

恐らくそこにヤツがいる。あたしは確信していた。

「ルティナさん〜待ってください〜。
突然、何処へ行かれるつもりですか〜?」

二人が走ってあたしを追いかけてくる。

彼らにはこの気配が分からない。

何故なら、人間である彼らには感じ取ることのできない、魔物特有のものだからだ。

雌の放つフェロモンに引き寄せられる生殖時の昆虫のように、特に下位クラスの魔物はそれに惹かれやすい。

あたしは彼らが近づいてくるのを見ると、足を止めた。

「あんたたちはエリスを見つけたら、直ぐにでも外へ出るんだ」
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