ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「それにこの何とかミストとかいう霧を発生させている元凶が、ここに居る魔物なのだろう?
ならば仲間の窮地が救え、尚且つ英雄としての役目も果たせる。
これで全てが、丸く解決できるのだ!」
アレックスは力強くそう言うと、右手の人差し指をあさっての方向へ天高く掲げてみせた。
……何なのだろう。今までに味わったことのない、この奇妙な疲労感は。
と、ここで、風の切る音を微かに感じたあたしは、考えるより先に身体を動かしていた。
無数の黒い閃光が、さっきまであたしの居た場所を通り過ぎていく。
その先は森のような場所になっていて、そこに生えている数本の樹木を刻んでいった。
飛んできた方向に顔を向けてみる。
するとそこには、昼間戦った黒装束の男。……いや、今は魔物の姿に戻っている。
魔物はこちらの様子を窺うように、ゆっくりと近づいてきた。
「やはり貴様とは、縁があるようだな」
奴は懐から短剣を2本取り出した。
刀身が全体的にスパークしているようだ。それ自体に術を掛けたらしい。
あたしは溜息をひとつ吐いた。
コイツもあたしと同様、先程の演奏に導かれてきたのだろう。
「では俺が、君の楯となろう」
アレックスは腰に下げた鞘から剣を引き抜くと、あたしの前に立ち塞がってきた。
ならば仲間の窮地が救え、尚且つ英雄としての役目も果たせる。
これで全てが、丸く解決できるのだ!」
アレックスは力強くそう言うと、右手の人差し指をあさっての方向へ天高く掲げてみせた。
……何なのだろう。今までに味わったことのない、この奇妙な疲労感は。
と、ここで、風の切る音を微かに感じたあたしは、考えるより先に身体を動かしていた。
無数の黒い閃光が、さっきまであたしの居た場所を通り過ぎていく。
その先は森のような場所になっていて、そこに生えている数本の樹木を刻んでいった。
飛んできた方向に顔を向けてみる。
するとそこには、昼間戦った黒装束の男。……いや、今は魔物の姿に戻っている。
魔物はこちらの様子を窺うように、ゆっくりと近づいてきた。
「やはり貴様とは、縁があるようだな」
奴は懐から短剣を2本取り出した。
刀身が全体的にスパークしているようだ。それ自体に術を掛けたらしい。
あたしは溜息をひとつ吐いた。
コイツもあたしと同様、先程の演奏に導かれてきたのだろう。
「では俺が、君の楯となろう」
アレックスは腰に下げた鞘から剣を引き抜くと、あたしの前に立ち塞がってきた。