ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「……あんた、お目出度いな」
「そうだ、俺は目出度い男なのだ。
だからこそ君が何を言おうとも、俺は君の手伝いをする。
俺自身が、そう決めたのだ」
「僕も〜アレックスさんを信じています〜。
だからルティナさんにも〜ついていくです〜」
コイツらには、あたしの皮肉も通じないというのか。
本当にお目出度い奴らだ。
そして脳天気な馬鹿どもだ。
ようやく少し気力の回復したあたしは、そのまま無言で歩き出していた。
その後ろから彼らも平然と、当たり前な顔でついてくる。
「しかし問題は、エリスのことだが……」
「そうですね〜何処に居るのでしょう〜」
二人とも心配そうな声を上げていたが、直ぐに。
「ですが〜エリスさんのことです〜。きっと大丈夫ですよ〜」
「うむ、そうだな。この中には確実に居るのだ。
そのうちまた会えるだろう」
彼らは傍から見れば、根拠のない自信とともに明るい調子に戻っていた。
が、突然エドが、怯えたような声を出してくる。
「な、なんだかこの先、変な気配がします〜。
この先へは行きたくないような〜……そんな変な感じです〜」
「変な気配……うむ、それなら俺も感じているぞ」
ようやくここにきて、二人とも気付いたようだ。
この中に蔓延している気配―――瘴気の存在に。