ゼロクエスト ~第2部 異なる者
痺れと全身を暴れ回るような激痛。もし「大きな雷に打たれる」とするならば、こんな感覚なのだろうか。
「精霊術は使えないが『精霊の加護』ならば発動するはずだ。
君はその能力を使って、この場から早々に立ち去るがいい」
魔物は何事もなかったかのようにそう言い残すと、木々の間へと消えていった。
横たわったまま、呆然と後姿を見送っている私だけが、その場に取り残されていた。
彼は私には『何も』していない。
こちらに敵意も見せなかったし、攻撃も――指一本さえも動かさなかった。
単に私が彼に触れようとしただけである。
それともアレは私にかけたものと同じ、防御術の類だろうか。
だが相手は上位クラスだ。私の知らない術を使っていたとしてもおかしくはない。
その辺りのことは、あまり深く考えない方がいいのかもしれない。
しばらくの間、全身に感じる痺れと痛みで、立ち上がることさえできなかった。
あの激痛でよく死なずにすんだものだと、我ながら感心してしまう。
ようやく何とか起き上がれた私は、早速掌へ意識を集中させてみる。
「烈風天駆(ヴァン・ヴォレ・ヴィン)」
他にもいくつか思いつくままに術を唱えてみたが、何れも駄目だった。
昼間の時は弱いながらも使用できたが、今回は精霊石さえも反応しない。
「精霊術は使えないが『精霊の加護』ならば発動するはずだ。
君はその能力を使って、この場から早々に立ち去るがいい」
魔物は何事もなかったかのようにそう言い残すと、木々の間へと消えていった。
横たわったまま、呆然と後姿を見送っている私だけが、その場に取り残されていた。
彼は私には『何も』していない。
こちらに敵意も見せなかったし、攻撃も――指一本さえも動かさなかった。
単に私が彼に触れようとしただけである。
それともアレは私にかけたものと同じ、防御術の類だろうか。
だが相手は上位クラスだ。私の知らない術を使っていたとしてもおかしくはない。
その辺りのことは、あまり深く考えない方がいいのかもしれない。
しばらくの間、全身に感じる痺れと痛みで、立ち上がることさえできなかった。
あの激痛でよく死なずにすんだものだと、我ながら感心してしまう。
ようやく何とか起き上がれた私は、早速掌へ意識を集中させてみる。
「烈風天駆(ヴァン・ヴォレ・ヴィン)」
他にもいくつか思いつくままに術を唱えてみたが、何れも駄目だった。
昼間の時は弱いながらも使用できたが、今回は精霊石さえも反応しない。