ゼロクエスト ~第2部 異なる者
黒装束に身を包んだ、トカゲの顔をした魔物――私の予想通りだった。
しかし徐々にその姿が大きくなるに従って、何処か様子のおかしいことに気が付いた。
酔っ払ったかのような覚束無い足取り。
顔を前へ突き出し、不恰好に丸められた背。
剥がれたマスクから覗く口元は、だらしなく開けられ、血走った焦点の定まらない眼は動かずに、真っ直ぐ前を向いたままだ。
「……臭う……臭うぞ……」
魔物は口から涎(よだれ)を垂れ流して、そのような言葉を呟きながら、私の直ぐ脇を通り過ぎていく。
こちらには全く気付いていない。
私は魔物が茂みの奥へ消えていくのを、そのまま見送っていた。
何が「臭う」のだろう。
確かにこの奥からは、瘴気を感じているけれど。
私はここで覚悟を決めることにした。
どちらにせよ私には、「精霊の加護」がないのだ。
勿論アレックスが居なければ、ここから抜け出せるはずがない。
それに昼間のルティナの話から考えると、彼女は先程の翼の魔物の元へ行くつもりなのだろう。
ということはそこに行けば、或いは彼女たちに会えるかもしれない。
それに今の敵の様子も気になるし。
「取り敢えず、行ってみるしかないわね」
私は気合いを入れるかのように呟くと、思い切って茂みの中へ足を踏み入れた。
しかし徐々にその姿が大きくなるに従って、何処か様子のおかしいことに気が付いた。
酔っ払ったかのような覚束無い足取り。
顔を前へ突き出し、不恰好に丸められた背。
剥がれたマスクから覗く口元は、だらしなく開けられ、血走った焦点の定まらない眼は動かずに、真っ直ぐ前を向いたままだ。
「……臭う……臭うぞ……」
魔物は口から涎(よだれ)を垂れ流して、そのような言葉を呟きながら、私の直ぐ脇を通り過ぎていく。
こちらには全く気付いていない。
私は魔物が茂みの奥へ消えていくのを、そのまま見送っていた。
何が「臭う」のだろう。
確かにこの奥からは、瘴気を感じているけれど。
私はここで覚悟を決めることにした。
どちらにせよ私には、「精霊の加護」がないのだ。
勿論アレックスが居なければ、ここから抜け出せるはずがない。
それに昼間のルティナの話から考えると、彼女は先程の翼の魔物の元へ行くつもりなのだろう。
ということはそこに行けば、或いは彼女たちに会えるかもしれない。
それに今の敵の様子も気になるし。
「取り敢えず、行ってみるしかないわね」
私は気合いを入れるかのように呟くと、思い切って茂みの中へ足を踏み入れた。