ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「結界の開いた気配がないから、まだ中に居るとは思っていたが……ここに来るとはな」
「あなたは一体ここで、何をしているの?」
私は反射的に尋ねていた。
目の前にあるのは奇妙な光景だった。
魔物の前には黒くて大きな球体が、地面すれすれの位置に浮かんでいる。
大きさは彼の身長と同じくらいで、一見すると丸い形状の球である。
しかしよく見れば霧状になっていて、その集合体が球状に形作っているようにも見えた。
それらが全体的にゆらゆらと、小刻みに揺れている。
更にその一端が紐のように、魔物に向かって細長く伸びている。
魔物のほうはそれを受け止めるかのように、両手の平を胸の前へ突き出す体勢だ。
「それはこちらのセリフだ。俺のかけた術が有効な間に、ここを離れているはずじゃなかったのか。
それに今まで何をしていた。
あれから随分時間は経っていると思うが」
「それは……あなたにいろいろ尋ねたいこともあったし。
だから今までずっと迷路のような、あの森の中を彷徨っていたのよ」
「迷路のような森の中?」
彼は怪訝そうな表情を浮かべながら、眉根を寄せた。
「あなたは一体ここで、何をしているの?」
私は反射的に尋ねていた。
目の前にあるのは奇妙な光景だった。
魔物の前には黒くて大きな球体が、地面すれすれの位置に浮かんでいる。
大きさは彼の身長と同じくらいで、一見すると丸い形状の球である。
しかしよく見れば霧状になっていて、その集合体が球状に形作っているようにも見えた。
それらが全体的にゆらゆらと、小刻みに揺れている。
更にその一端が紐のように、魔物に向かって細長く伸びている。
魔物のほうはそれを受け止めるかのように、両手の平を胸の前へ突き出す体勢だ。
「それはこちらのセリフだ。俺のかけた術が有効な間に、ここを離れているはずじゃなかったのか。
それに今まで何をしていた。
あれから随分時間は経っていると思うが」
「それは……あなたにいろいろ尋ねたいこともあったし。
だから今までずっと迷路のような、あの森の中を彷徨っていたのよ」
「迷路のような森の中?」
彼は怪訝そうな表情を浮かべながら、眉根を寄せた。