ゼロクエスト ~第2部 異なる者
今まで黒い球体のほうにばかり気を取られていて、気付かなかったのだが、そこには大きな岩の塊が一つ転がっていた。

いや、よく見れば岩ではない。魔物の頭部だ。

その周辺もよく見回してみると、黒い布切れのようなもの。

ヌメヌメとした光沢のある赤黒いミミズのような束。

もしかしてこれらは衣服や内臓、或いはその一部……肉片だろうか?

白くて大小様々な破片――恐らくこれは骨だろう――ものなどもあった。

それらが折り重なるようにして散乱している。

それに大きな水たまりのような赤黒い液体も、所々地面に乗っている。

この場所へ最初に足を踏み入れた時に、何か生臭いような異臭も漂っていたのだが、もしかしたらそれらが原因か。

殆どのものは原形を留めてはいなかったが、唯一頭部には見覚えがあった。

私たちを襲ってきたトカゲの魔物だ。

「な……これは……」

私は口を手で押さえながら顔を顰めていた。

いくら魔物の死体に見慣れているとはいえ、流石にここまでのものを見せ付けられては、気分が良くない。
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