ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「これは『そのように作られた』ものだ。
もしこれが外へ出た時に、周辺にいる下位クラスの魔物を取り込み続けてしまったなら、被害はこの付近だけでは済まなくなるだろう」

或いは世界規模にまで発展する可能性があると、魔物は更に言葉を続けた。

「それで、この種そのものを破壊するのね」

「これが一番手っ取り早く、且つ確実な方法だからだ」

彼はただ前を凝視したまま、静かな口調で話している。

「魔物をここへ導いたのは君だが、責任というのであれば、半分は俺にもある。
何故なら魔物の行動を阻止できず、種に余計な養分を与えてしまったのは俺だからだ。
だからこそ最悪の事態になる前に、何としてでも阻止しなければならない」

彼の瞳の中には今まで宿ることのなかった、輝きのようなものが見えた気がした。

しかしそのような瞳を持つ魔物など、私は今まで遭ったことがない。

「でも何故、それを私に?」

種を破壊するだけならば、自分でやったほうが早いと思うのだが。
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