ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「俺にはこの力を押さえるだけで精一杯。
それに周囲を覆い尽くしている瘴気が妨害をしているため、術も届かない。
だがコレはまだ『完成形』ではない。
圧力を少し加えただけでも壊れやすい、不完全な代物だ。
君にでも簡単に破壊できるだろう」

「つまり少し力を入れただけでも、直ぐに壊れるということね。
……素手でも大丈夫かしら」

「表面上はかなり高温だ。自分の手が燃やされてもいいのなら、止めはしないが」

じゃあ無理。パス。

「なら私にどうしろと言うの?
術さえも使えないのよ」

「君は術士なのだろう?
例え精霊術士だとしても、護身用の武器くらいは持っていないのか」

言われて気付いた私は、ここで初めて腰をまさぐった。

今まであまり使う機会がなかったためにすっかり忘れていたが、護身用の短剣を常備していたのだ。
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