ゼロクエスト ~第2部 異なる者
このままでは霧が留まり続け、街道の通行止めも当分解除になることがないだろう。
私はこの先へ行かねばならないのだ。
目的も当然あり、ここで足止めをされるわけにはいかなかった。
各社を巡る旅――巡礼の旅を、無事に果たさなくてはならない。それが父との最初の約束でもある。
もし今の状態を打開できる方法がある、というのであれば――アレックスのように「自分が皆を救う!」などと、大それたことを言うつもりもなかったが――。
「そういえば、あなたの名前をまだ、訊いていなかったわね。
私はエリス。エリス・フルーラよ」
「俺は……ゼリューだ」
「なら、ゼリュー。あなたの依頼、引き受けるわ」
ここで決めなかったら女が廃(すた)るというもの。
例え私の手が1本や2本無くなったとしても、世間にしてみれば、ほんの些細なことだ。
よし、やってやろうじゃないのっ!