ゼロクエスト ~第2部 異なる者

第4節 ちん入者

ゼリューは浄化の出力を徐々に上げ、一時的に大量の瘴気を減少させると言った。

私はその瞬間を狙って剣を繰り出せばいい。



彼が浄化に集中している間、私は緊張の面持ちでその横顔を見守っていた。

それにしても、と思う。

彼は魔物であるはずなのに、今まで私が出遭った中では、おおよそ魔物らしくなかった。

中位クラス以上の魔物といえば、傲慢でプライドが高く、このように人間の相手を律儀にはしないものだ。

そんな魔物に今まで出遭ったことさえもなかった。

中にはこんな魔物もいるのかと、改めて驚かされている。



人間にも善人悪人変人などがいるように、もしかしたら魔物の中にもこのように、変わり者たちが居るのだろうか。





「もう直ぐだ」

ゼリューが呻くように、静かに口を開いた。

私は短剣を抱くようにして、更に強く両手で握り締めている。

両掌が汗ばんでいるのが自分でも分かる。堅い唾が喉元を下っていく。



だが。



突如響き渡る叫び声。

近くで鳴る轟音。

私は咄嗟に両耳を塞ぎ、その場にしゃがみ込んでいた。
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